オリゴ糖は便秘の予防・改善やダイエットに効果があると、老若男女問わず注目されています。そもそもオリゴ糖とは?どんな効果があるの?代表的なオリゴ糖の種類は?オリゴ糖の基礎知識をご紹介します。
オリゴ糖とは?
オリゴ糖とは、ブドウ糖や果糖など、それ以上分解することのできない単糖がいくつか結合したものです。
オリゴ糖の「オリゴ(oligo)」には「少ない」という意味があり「少糖」とも呼ばれます。いくつかの少ない単糖から構成されるオリゴ糖ですが、その数に定義はなく、一般的には3~10個未満の単糖が結合しているものを指します。
最近では、オリゴ糖の健康や美容への効果が注目され、オリゴ糖が含まれた食品が多く販売されています。
オリゴ糖と糖質の違い
単糖が結びついた「オリゴ糖」と炭水化物やビールなどに含まれる「糖質」。
オリゴ糖と糖質はどちらも言葉に「糖」が付いているため、同じように捉えられがちですが、両者は消化性に大きな違いがあります。
まずは糖質について説明します。糖質を摂取すると、胃や小腸において消化酵素でブドウ糖や果糖に分解され、分解された糖質は最終的にエネルギーの元となります。
糖質を過剰に摂ると、エネルギーとして消費されなかった分が中性脂肪として蓄積されます。「糖質=太る」というイメージが強いのはこのため。「糖質オフ」「糖質制限」などの食品を目にすることも多いですよね。
一方のオリゴ糖。オリゴ糖は消化酵素で分解はされず、体内に入るとそのまま大腸まで届き、腸内環境を整え善玉菌を増やす働きをします。
オリゴ糖は体内で分解されず大腸に達するので、エネルギーをあまりつくりません。糖質よりも低エネルギーで太りにくいことから、砂糖の代用としてオリゴ糖が使われることが多いのです。
オリゴ糖にはどんな効果がある?
ビフィズス菌を増やす
腸内には、ビフィズス菌などの善玉菌(有用菌)と、黄色ブドウ菌などの悪玉菌(有害菌)が存在しています。
善玉菌と悪玉菌が一緒に存在することで腸内細菌(腸内フローラ)が成り立ちますが、健康な状態を保つためには、腸内細菌(腸内フローラ)のバランスにおいて、善玉菌が有利でなければいけません。
善玉菌の代表格であるビフィズス菌は乳酸菌の一種で、食品で摂取しても生きたまま腸まで届けることは難しいといわれています。そこで、もともと腸内に存在しているビフィズス菌の増殖するために、オリゴ糖を摂ることが効果的といわれています(※1)。
消化・吸収されずに大腸まで届くオリゴ糖はビフィズス菌の栄養源に。オリゴ糖によって増えたビフィズス菌は、腸内環境を整えて様々な健康効果をもたらしてくれます。
便秘の予防・改善
便秘を引き起こす原因は人によって様々ですが、腸内環境が深くかかわっています。
オリゴ糖でビフィズス菌を増やし腸の運動を活発にすることで、スムーズな排便を促し、便秘を予防します。
食中毒や腸炎の予防
ビフィズス菌は病原菌の増殖を防ぐ働きをします。食中毒や腸炎などの発症リスクを低下させる効果が期待できます。
腸内腐敗の抑制
悪玉菌が増えると腸内を腐敗させて、おならが出るだけでなく、便秘、下痢、肌荒れ、ニキビ、さらには大腸がんや動脈硬化など重症な病気を引き起こすリスクがあります。
ビフィズス菌は腸内腐敗を抑制する働きも期待できます。
ビタミンを合成する働き
健康や美肌に欠かせないビタミン。ビタミンもまた、食事だけで十分な量を補うことが難しいといわれている栄養素です。
ビフィズス菌はビタミンB群を中心とするビタミンを合成する働きも持っています。
虫歯になりにくい
虫歯は、口腔内細菌の虫歯菌(ミュータンス菌)が酸をつくり、歯のエナメル質を溶かすことでできるものです。
砂糖や果糖が虫歯菌(ミュータンス菌)の大好物なのに対して、オリゴ糖は虫歯菌(ミュータンス菌)をつくりにくく、虫歯になりにくい糖といわれています。
オリゴ糖の種類
オリゴ糖と一口にいっても、実は20種類以上もの種類があり、それぞれ性質や特徴が異なります。今回は、中でも食品に含まれることの多い、代表的な7つのオリゴ糖をご紹介します。
乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)
砂糖と乳糖を原料として作られており、液状にも粉状にもできるオリゴ糖です。消化されにくく、オリゴ糖の中でも効果が高いとされています。
オリゴ糖の中ではもっとも砂糖に近い甘味です。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
イソマルトオリゴ糖
まろやかな甘みを持ち、醤油、みりん、味噌、醤油などの調味料や、ハチミツの天然成分に含まれているオリゴ糖です。
熱や酸に強く、防腐効果もあるため、長期保存に向いています。オリゴ糖の中でも安価。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
ガラクトオリゴ糖
母乳や牛乳に含まれているオリゴ糖。腸内環境の改善、便秘や下痢の改善などの効果があります。たんぱく質の消化・吸収をサポートし、ミネラルの吸収も促進します。
程よい甘みを感じられます。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
フラクトオリゴ糖
フラクトオリゴ糖はアスパラ、ごぼう、にんにく、玉ねぎなどの野菜に含まれています。虫歯になりにくく腸内環境への効果も確認されています。
砂糖によく似た味でクセのないまろやかな甘さが特徴です。コーヒーなどに入れる甘味料として、料理やお菓子づくりにもよく使用されます。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
キシロオリゴ糖
食物繊維の一種である「キシラン」を酵素分解して作られるオリゴ糖です。タケノコやとうもろこしに少量含まれています。
腸内環境の改善に役立ち、他のオリゴ糖よりも少量で効果が得られるといわれています。
砂糖とほぼ同じ甘さで熱や酸にも強いので、料理にもよく使われます。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
大豆オリゴ糖
名前のとおり大豆や豆腐に含まれていて、日常の食事から摂り入れやすいオリゴ糖です。少量で腸内環境の効果を実感できる反面、他のオリゴ糖よりもカロリーが高いのが特徴。
砂糖の約70%の甘味があるため代用品として使われます。熱や酸にも強いです。特定保健用食品(トクホ)の関与成分。
ラフィノース
ビート(甜菜)から抽出された天然オリゴ糖。アスパラガス、キャベツ、ブロッコリーなどに含まれています。
オリゴ糖の中で唯一、吸湿性を含まないので、錠剤や粉末粒子にも使われています。
オリゴ糖は赤ちゃんや妊婦も摂取できる?
摂取する薬や食べ物に制限がある赤ちゃんや妊婦さんは、オリゴ糖を摂ることはできるのでしょうか?
結論からいうと、摂取量に気を付ければ、赤ちゃんも妊婦さんもオリゴ糖を摂取しても問題ありません。
赤ちゃんにオリゴ糖をあげる場合
低月例の赤ちゃんはビフィズス菌が優位に働いているのでオリゴ糖は必要ないといえますが、離乳食期以降は善玉菌が減り、便秘になりやすいといわれています。
赤ちゃんにはベビー・キッズ用のオリゴ糖食品を選び、ミルクや離乳食に混ぜてあげます。生後6ヶ月以降を目安に、まずは1日1gから始めましょう。1歳以降は様子を見ながら1日2~3g程度を目安とします。
なお、ハチミツ入りのオリゴ糖は赤ちゃんにあげられませんので、注意してください。
妊娠中・授乳中にオリゴ糖を摂る場合
妊娠中はホルモンの影響などから便秘で悩む妊婦さんは多いです。産婦人科では妊婦さんでも内服できる便秘薬を処方してもらえますが、オリゴ糖であればより自然に便秘解消が期待できます。
妊娠中・授乳中であっても、制限はなくオリゴ糖を摂ることができます。ただし、妊娠中・授乳中に限らず、体質・使用量によってはお腹がはったり、お腹がゆるく下痢になったりすることがあります。
まずは少量から始めて様子を見ながら増やしていくことをおすすめします。
また、妊娠中の健康食品の摂取について不安な点があれば、まずはかかりつけの医師に相談をすると安心です。
オリゴ糖のおすすめの摂り方は?
実際に、オリゴ糖はどのようにして摂取するとよいのでしょうか? 基本的な摂り方は、オリゴ糖の粉末を食べ物や飲み物に混ぜて食べる方法です。
さらに、オリゴ糖の効果を高めてくれる摂り方があるので、ぜひ参考にしてみてください。
ヨーグルトに混ぜる
便秘解消のために、毎日ヨーグルトを食べている人も多いのではないでしょうか?ヨーグルトだけで便秘が改善されないようであれば、オリゴ糖を組み合わせるのがおすすめですよ。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、「プロバイオテクス」としての効果を発揮します。プロバイオテクスとは、善玉菌としての働きをおこなうこと。その善玉菌のエサとなるのが、オリゴ糖です。
ヨーグルトとオリゴ糖を同時に摂取することで相乗効果が生まれ、より大きな整腸作用が期待できます。
納豆に混ぜる
健康食品として優秀な納豆には「納豆菌」が含まれており、この納豆菌もヨーグルト同様、プロバイオテクスの効果を発揮します。納豆菌には、腸内環境の改善効果の他に、感染症の予防も期待される菌です。
納豆とオリゴ糖を一緒に摂取することで、より高い相乗効果が生み出されるので、組み合わせにおすすめの食品となります。
食物繊維と一緒に摂る
オリゴ糖と食物繊維はとても近い関係性があり、どちらも便秘解消や腸内環境を整える効果があります。
しかし、食物繊維には便の量自体を増やす効果がありますが、オリゴ糖にはない作用です。便秘解消のためには、便通をよくすることと同時に、便の量を増やすことも大切となります。
便秘で悩んでいる人は、食物繊維と一緒にオリゴ糖を摂取して、それぞれの効果を高めましょう。
お米を炊くときに
普段と同じようにお米を研いだら、5g程度のオリゴ糖を加えて炊くとツヤと旨味が増しておいしくなります。
お米を炊くときに入れるオリゴ糖は、甘みの少ないラフィノースがおすすめです。液状タイプは炊き上がりにベタつく可能性があるので、粉末状のオリゴ糖を入れるのがよいでしょう。
砂糖の代わりに
オリゴ糖は種類によって甘みが異なりますが、それぞれのオリゴ糖に甘みがあります。カロリーも砂糖の半分なので、砂糖やみりんの代わりに使用する方法もおすすめです。
オリゴ糖は加熱や酸に強いので、煮物や炒め物、お菓子を作るときに重宝しますよ。
普段、コーヒーや紅茶に砂糖を入れているのであれば、オリゴ糖に代えるだけで甘味は残したまま、カロリーだけ減らすことができます。
なお、ダイエット目的としてオリゴ糖を摂取する場合は、“摂り過ぎ”に注意しましょう。いくら砂糖よりもカロリーが低いからと言っても、カロリーゼロなわけではありません。
また、オリゴ糖を大量に摂取すると、お腹がゆるくなったり、張って苦しくなったりします。
腸内環境を整えて効果を得るために、たくさんのオリゴ糖を摂取したい気持ちも分かりますが、少量に分けて様子を見ながら摂り入れていきましょう。
オリゴ糖で新しい健康習慣を始めよう
便秘や下痢などの不調が気になる人は、腸内環境が乱れているのかもしれません。ヨーグルトや大豆製品、食物繊維を意識的に摂るのもよいですが、大腸に生きたまま届くオリゴ糖を毎日の食事にプラスしてみてはいかがでしょうか?
ただし、オリゴ糖は薬ではないため、効果には個人差があります。オリゴ糖の摂取はできるだけ習慣付けて、ビフィズス菌などの善玉菌を増殖し、腸内環境を整えていきましょう。
※1 参考文献:厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] ビフィズス菌(びふぃずすきん)
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